医療福祉人材の紹介手数料負担の低減に向けたハローワークの機能強化等を求める提言
【医療福祉現場等の人材確保に向けた雇用仲介機能の改善に関する勉強会】
医療福祉人材の紹介手数料負担の低減に向けたハローワークの機能強化等を求める提言
令和7年6月
政府においては、これまで、人材不足が深刻化する中で、医療福祉現場における人材紹介手数料負担が医療・福祉の経営を圧迫する事態に対して、職業紹介事業者による就職お祝い金の禁止、優良事業者の見える化等に取り組んできたところである。
こうした取組みを評価しつつも、現場において大きな課題となっている、
・近年の物価高騰をはじめ医療福祉現場の益々厳しい経営環境
・紹介事業者の利用に際しての運用上のトラブル・困難事例
・そもそものハローワーク(公共職業安定所)のインターネットサービス等の使いにくさ
等に真摯に向き合い、更なる人材紹介手数料負担の低減、人材確保を通じた経営の安定等に向け、以下要望する。
1.公共かつ無料であるハローワークの運用改善(インターネットサービスの機能強化等)
1)現在、厚労省において、オンラインで仕事探しをするニーズに十分に応えることができるよう、ハローワークのインターネットサービスの利便性向上をはじめとした運用改善について、令和8年までを目途に取り組んでいるところであるが、ハローワークを利用しない求職者、求人事業者・事業者団体の声について、幅広い収集・分析等を通じたPDCAサイクルの質的向上を図る。
2)民間事業者の専門的な知見を踏まえてデジタルマーケティング施策の企画立案・実行やアクセス解析を実施できる体制を構築する。まずは既存のシステムの保守運用契約等を活用した改善を実施しながら、専門的な知識を有する人材確保等を進める。
3)ハローワークインターネットサービスを利用しようとしたユーザーが迷わずアクセスできる状態の実現はもとより、ハローワークのオンラインサービスへの流入強化に向けて、新型コロナ等の例も参考に、民間検索サイトとの連携、SEO(検索時の上位表示)対策の実行・強化やSNSの活用等に取り組む。
4)オンラインサービスの普及進展やタイムパフォーマンスが重視される時代背景を踏まえ、オンラインによる職業相談が受けやすい体制の整備・拡充(認知度拡大、予約・応募導線の簡略化、対応時間の拡大等)に取り組む。
5)AIをはじめとしたテクノロジーの活用により、窓口・オンラインサービスを通じた職業紹介サービスの利便性向上・マッチングの品質向上に取り組む。
6)医療分野ではハローワークとナースセンターが連携して無料の職業紹介事業を実施しており、ハローワークの機能強化とあわせて、ナースセンターが十分に機能を発揮できるように体制を強化する。
7)医療福祉現場の人材確保の緊急性を十分に踏まえ、上記について着実に実行できるよう、必要な予算や人員等の確保を進める。
2.有料職業紹介事業者の紹介手数料の低減・抑制
1)本年4月より義務化された、有料職業紹介事業者が徴収した紹介手数料の実績公表について、履行確保を徹底するとともに、医療・福祉事業者がそれらの情報を有効に活用できるよう、制度改正を踏まえた活用事例等を含めて周知に取り組む。
2)優秀な職業紹介実績を出している有料職業紹介事業者の取組み等を基に、医療・福祉人材の定着のために、有料職業紹介事業者が医療・福祉事業者に対して提供できる、人材紹介にとどまらず、円滑な人材確保等に向けたコンサルティング(アドバイスや情報提供等)の普及に取り組む。
3)優良な有料職業紹介事業者の見える化とあわせて、悪質な事業者の明確化や過度な違反事業者に対する許可取消し等の運用の強化にも取り組む。
4)求人事業者と有料職業紹介事業者との間の著しい交渉力の差により、平均的な水準を大幅に上回る紹介手数料を支払わざるを得ない場合もあることを踏まえ、紹介手数料の水準に対する規制の在り方について検討を進める。